一般社団法人 日本タトゥーイスト協会

医師免許は必要ないとする最高裁決定について

皆様もすでに報道などでご承知のとおりと思いますが、彫師が「医師法違反」の罪に問われていた裁判において、2020年9月16日付で最高裁判所は検察側の上告を棄却し、無罪が確定しました。これにより、タトゥーの施術に医師の免許は必要ないとする司法の判断が確定することになります。

 今回の最高裁決定により、我々は、彫師という「職業」が社会的に認められるためのスタートラインにようやく立つことができたと言えます。

 最高裁決定では、「タトゥー施術行為に伴う保健衛生上の危険については、医師に独占的に行わせること以外の方法により防止するほかない。」(法廷意見)、「タトゥー施術行為に伴う保健衛生上の危険を防止するため合理的な法規制を加えることが相当であるとするならば、新たな立法によってこれを行うべきである。」(草野耕一裁判長補足意見)と述べられており、「タトゥー施術行為に伴う保健衛生上の危険」が明確に意識されています。

 医師の免許まではいらないものの、彫師は「保健衛生上の危険」が生じないようにすべき重責を担っており、その責任を果たすようにと最高裁から要請されているのです。

 また、草野裁判長の補足意見では「タトゥー施術行為は、被施術者の身体を傷つける行為であるから、施術の内容や方法等によっては傷害罪が成立し得る。」とも述べられています。

 このように、彫師には、タトゥーが被施術者の身体を傷つける行為であることを認識し、「保健衛生上の危険」が生じないようにするため、真摯に衛生管理に取り組むことが求められています。
 
 そのためにもっとも重要なのは、業界団体としての自主的なルールである衛生管理基準の厳守です。当協会が公開している「衛生管理ガイドライン」は、現実離れしたものではなく、真っ当に仕事をしてきた彫師が当たり前に行ってきたことを基準化したものです。「衛生管理オンライン講習」も同様です。年に一度の会員資格の更新とそのためのオンライン講習の受講を面倒に感じる方もおられるかもしれませんが、衛生管理への取り組みとして継続していただければと思います。

 また、本ウェブサイトでは、会員専用のページから「誓約書」をダウンロードすることもできます。日本語と英語版を用意してありますので、同意の有無(同意がなければ上記の補足意見のように傷害罪が成立しかねません)が問題となるといった不要なトラブルを回避するためにも、ぜひご活用くださいますようお願い申し上げます。

 今後、行政・立法機関とのやり取りが必要となってくることも考えられるなか、彫師による彫師のための業界団体としての当協会がその役割を果たすためには、皆さまの力が必要です。これを機に、ぜひ当協会の活動に関心を寄せていただき、積極的に参加していただけたらと思います。これからの日本のタトゥーの未来を、ともにつくっていきましょう!

 多くのご賛同者の新規加入を心よりお待ちしております。