一般社団法人 日本タトゥーイスト協会

タトゥー施術行為の定義についてご意見募集のお願い

2023年3月吉日 一般社団法人 

日本タトゥーイスト協会 

皆さま、

当協会では、厚生労働省医政局医事課の照会を受け、このたび、タトゥー施術行為についての定義を策定することを検討しております。当協会において定義のたたき台として策定した案は、以下のとおりです。

定義案:タトゥー施術行為とは、針先に色素を付けながら、皮膚の表面に墨等の色素を入れる行為のうち、美術的な目的で、絵画、文字、記号、文様等を描く行為(施術箇所に本来存在しうる人体の構造物(眉毛、毛髪、乳輪・乳頭等)を描く行為及び化粧に代替しうる装飾(アイライン、チーク、リップ等)を描く行為を除く。)をいう。

上記の定義案は、タトゥーが美術的な目的で施術されるものであることを明らかにすること、また、アートメイクに該当する行為を具体的に括弧書のなかで示したうえで、「(アートメイクに該当する)行為を除く」として、アートメイクがタトゥー施術に該当しないことも明確にすることを目的としています。

定義案のなかの「施術箇所に本来存在しうる人体の構造物(眉毛、毛髪、乳輪・乳頭等)を描く行為及び化粧に代替しうる装飾(アイライン、チーク、リップ等)を描く行為」という箇所が、アートメイクに該当する行為を示したものです。

この定義案について、皆さまのご意見を賜りたく、以下の日程及び方法でご意見を募集いたします。ご意見は、別紙1の「ご意見入力フォーム」に記載する形でご提出いただきます。頂戴したご意見の集計結果等は、当協会のウェブサイトにて発表する予定です。なお、取得した個人情報については、個人情報保護法その他の法令及びガイドラインを遵守して適正に取り扱います。

ご意見受付の締切:2023年4月30日

ご意見提出の方法:タトゥー施術行為の定義についての ご意見入力フォーム (クリック)

タトゥー施術行為の定義を策定する理由

以下では、当協会がタトゥー施術行為の定義を策定しようと考えた理由を記しますが、簡潔にまとめると「医師法の規制を免れるため、アートメイクであるにもかかわらずタトゥー施術を名乗る行為への対処が必要であるため」ということになります。

皆さまご存知のとおり、平成30年11月14日大阪高裁判決及び令和2年9月16日最高裁決定によって、タトゥー施術行為は医行為に該当せず、医師免許を有していない彫師がタトゥーを彫る行為は医師法に違反しないとの司法判断が確定しました。上記の司法判断においては、「アートメイクは、美容整形の範疇としての医行為という判断が可能であるというべきである。(略)医療関連性が全く認められない入れ墨(タトゥー)の施術とアートメイクを同一に論じることはできない」(大阪高裁判決23頁)とされ、タトゥー施術行為とアートメイクは明確に別のものと区別されています。

ところが、今般、タトゥー施術行為が医行為に該当しないとの上記判断を悪用し、タトゥー施術ではなくアートメイクの施術であるにもかかわらず、「これはタトゥーであるため、医行為に該当しない」として、医師ではない者がアートメイクの施術をする行為が横行しているとの情報があります。

このように、アートメイクの施術であるにもかかわらず、医師法の規制を免れるためにタトゥ一施術を名乗るというのは、彫師という職業の適法性を正面から認めた司法判断を愚弄するものと言わざるをえません。また、万が一、彫師がアートメイクを施術するなどということが起きると、その彫師は医師法に違反することとなり逮捕その他の刑事的制裁を受けることとなるほか、タトゥー業界全体に風評被害その他の悪影響が及ぶことは避けられません。

以上の状況を踏まえると、彫師の業界団体である当協会として、タトゥー施術行為とは何か、との定義を策定し、アートメイクとタトゥーの区別を明確化することが必要不可欠と考えられます。

当協会では、厚生労働省医政局医事課の照会を受け、タトゥー施術行為の定義を検討するに至りました。当協会は、従前から、厚生労働省の科学研究グループによるタトゥー施術に関する調査に協力しており、厚生労働省との良好な関係が築けていると認識しております。

長くなりましたが、以上を踏まえ、タトゥー施術行為の定義案についてご検討いただき、ご意見をいただきたく存じます。よろしくお願いいたします。

以上